犯罪予防研究

福岡県警察では、防犯に配意した環境整備を実現するため、都市計画学や建築学等について専門的な知識を有する研究者を「福岡県警察犯罪予防研究アドバイザー」として委嘱し、犯罪の傾向や地理的要因について調査研究を行う制度を平成26年11月から開始しています。
福岡県警察 福岡県警察犯罪予防研究アドバイザー制度

研究成果報告書の中から抜粋してお伝えします。
防犯のための住宅地デザインとコミュニティ活動 柴田 建(九州大学大学院人間環境学研究院 助教)

福岡県内で計画的に開発された戸建て住宅地
住宅侵入盗の発生傾向を住宅地の立地するエリア、開発年代、街区形状、コミュニティ活動等との相関を分析することにより、防犯のための住宅地デザインとコミュニティ活動について考察することを目的されています。

まずは、全国の犯罪統計を確認しましょう。

犯罪統計

R5の全国の認知件数。警察庁 犯罪統計より。
侵入強盗、侵入盗は、研究対象にされている福岡県はワースト4位と6位。
埼玉県は、ワースト3位と1位。

侵入強盗

侵入強盗の検挙率は全国で91.5%と高く、最低でも新潟と福井の50%。
埼玉県の認知件数33件、検挙率は90.9%。

侵入盗

侵入盗の検挙率は全国で52.4%。
埼玉県の認知件数4,212件、検挙率は53.6%。年間で1日当たり平均11.5件発生している。

侵入盗 住宅対象

侵入盗住宅対象の検挙率は全国で50.2%。
埼玉県の認知件数1,704件、検挙率は55.0%。年間で1日当たり平均4.7件発生している。
ニュースや報道で見聞きしている以上に埼玉県では侵入盗が多く発生しています。

埼玉県の侵入盗は、全国でもダントツに多いことがわかりました。
では、住宅侵入盗の発生傾向を住宅地の立地するエリア、開発年代、街区形状、コミュニティ活動等との相関についての研究成果報告書の内容をご紹介します。

研究成果

分析対象のエリアとして、1960年代以降に福岡県内で開発・分譲された計画的住宅地を15地区選定した。これらの住宅地において、2006年〜2015年度の10年間に戸建て住宅で発生した住宅侵入盗(空き巣・忍び込み・居空き)472件を、分析・考察の対象としている。なお、対象の15地区はいずれも戸建て住宅を中心とした開発が行われたエリアであり、分析では戸建て住宅以外(集合住宅や他用途の建物)で発生した侵入盗についてはデータから除外している。

住宅地デザイン

住宅地のデザインや街区形状は大きく、ハモニカ型、ループ道路宅地、コモン型の3つのタイプに分類されています。

ハモニカ型

1960年頃~
住宅地を幹線道路で大きく区分けした後に、その内側をいわゆる“ハモニカ型”の宅地割を上下左右に連続させることで埋めていく宅地割で、宅地数を最も多く確保できるこのデザインは、現在においても最も一般的な計画手法。夢のマイホームを少しでも多くの家族に素早く提供するための計画。

ループ道路宅地

1980年頃~
小学校や大規模公園をつなぐかたちで、住宅地の背骨にあたる遊歩道が設けられている。宅地の大半は依然としてハモニカ型街区であるが、遊歩道沿いの宅地では、そのまま車道が通り抜ける事ができないため、遊歩道でUターンして戻ってくる、ループ状の道路となる。交通安全が図ることが目的とされていた。

コモン型

1980年後半頃~
蛇行する歩車融合の道沿いに宅地を配する「通り型コモン」と、小広場を共用のコモン空間としその周囲を囲むように宅地を配する「広場型コモン」の2つのデザイン手法がある。
交通安全、住宅と外構のデザインを統一することで統一感のある街並みを形成、コモン空間を近隣コミュニティの育成に利用。

ハモニカ型
ループ道路宅地
コモン型

住宅侵入盗被害率

対象としている 15住宅地それぞれの被害率を以下の計算式で算出。

住宅侵入盗被害率=10年間の被害件数/区画数
その住宅地で戸建て住宅に 10 年間居住した際に、被害に合う確率を示している。

街区形状と立地の被害率 表

被害率が5%とは?
100件中5件です。これは、20件中1件になります。
10年間で、20件中1件が侵入盗の被害に遭う確率です。

この表から読み取れる、被害率の傾向は、宅地開発された年代街区形状1980年代以前で多くなっている。
これは、住人が高齢者の単身・夫婦のみの世帯が、多くを占める状況になっていることとも相関し、高齢者の防犯対策意識が低いことも挙げられる。
また、線路沿いが多い傾向が伺えます。

各住宅地の開発年と被害率


繰り返しになりますが、埼玉県の侵入盗は、全国でもダントツに多年間で1日当たり平均4.7件発生しています。
ニュースや報道で見聞きしている以上に埼玉県では侵入盗が多く発生しています。

被害率が高くなる要因

地域警察官へのインタビューでは、
「若い家族と違って、高齢者は昔の感覚のまま庭の(掃き出し)窓を開けっ放しにしている人が多い」

「この地区は、家の垣根も塀も高い。一旦入れば、外から見えない」(A住宅地)、「住宅を生け垣が囲んでいるので暗い裏口にも垣根があるので、隣の家から見えない」(D住宅地)など、古い住宅地の外構の閉鎖性も要因としてあげられた。

とのコメントが得られた。

地域警察官へのインタビューでは、
「車の多い大通り沿いでは、人の目があるので入りにくい。逆に、その一本裏側にいくと、不在を確認しやすく、成功したら逃げやすいのでよく狙われる」等のコメントが多く得られた。

また、その幹線道路から入った場所にあるハモニカ型宅地においては、「角にある塀の高い家は、一旦(塀の裏側に)入ると見えにくいので狙われやすい」とのコメントもあった。

1960-80 年代に開発された住宅地の多くでは、

1)防犯意識の低い高齢者が多い、
2)高い生け垣や塀の閉じた外構が多い、
3)連続するハモニカ型宅地が多く通りの領域意識が低い

という要因の重なりによって、被害率が高くなっていると考えられる。

被害率の比較

ループ道路宅地は、ハモニカ型の半分の被害率。
被害率は半分ですが、0.9%あり安心はできません。

地域警察官によると、(ループ道路宅地は)、「犯行後の逃走経路が限定されてしまうため、避けられるのではないか」とのコメントもあった。


幹線道路沿い宅地は、ハモニカ型角地の約1/3、ハモニカ型内側の約半分の被害率。
被害率は半分ですが、1.6%あり安心はできません。
また、ハモニカ型の角地の方が内側より被害率が高くなっています。

コモン空間に面した宅地ではいずれも被害率が非常に低く、特に広場型コモンに面した宅地では、今回の分析では過去10年間に侵入盗被害は発生していなかった

防犯のとりくみ

一般に、一度犯罪被害に遭った対象は再び被害に遭いやすい反復被害)。
この現象は、魅力的な標的が被害に遭いやすいとする「リスク偏在性」、最初の犯行時に獲得した情報が次の犯行を引き起こす「イベント依存性」から説明され、実態として2割程度の対象が被害の8割を占めるとする「80/20ルール」が知られる。

さらに、同一対象のみならずその周囲の犯罪リスクが高まり、時間とともに低減する現象、すなわち時空間的な「近接反復」が銃犯罪、路上強盗などの罪種を対象に示されている。住宅侵入窃盗の近接反復についても一定の研究蓄積がある。

(~中略~)

(集合住宅の反復被害)
Repeatの被害間隔を見ると、30日以内は31%、60日以内は41%で、上述したBRと同様に50日を超える
と大きく減少する。約1年(360日)以内は64%だった。

集合住宅における侵入窃盗の時空間的近接
代表研究者 樋野 公宏(東京大学大学院工学系研究科 准教授)

犯罪者が侵入盗で一度標的にして成功した場合、同じ標的とその地区内の標的の近所を標的にする確率が示されています。

近所や近隣町内で侵入盗があった場合、直後から1年間は警戒が必要で、50日以内は特に何らかの対策を取ることをおススメします。

コミュニティ

既存の住宅地において、コミュニティ主導で防犯性を高める手法

1)高齢者の防犯意識の向上
標的にされないためには、居住者、特に高齢者の防犯意識向上である。特に無施錠の危険性について、認識を強める必要がある。

2)開かれた外構
被害率の高い地区、一戸建てでは、高い塀、生垣などで閉鎖され透過性がない
生垣は、選定することで、間引いたり、背を低くすることが可能。
高い塀はフェンスなどに変える方が良いが工事費もかかる。この場合、防災で高い塀を撤去するなどで補助金がでる市町村もあるのでご確認をおススメする。
透過性ある外構のほうが安心・安全に暮らすことができることを認識する。

3)とアクティビティの活性化
お互い見知った関係を増やして地域や近所のコミュニティを強めることで、不審者への対策が取りやすくなる。
健康のためのウォーキングや犬の散歩、公園や通り沿いでの花壇整備等のアクティビティを高めることで、人の目が多くなることや近所付き合いのある地域と思わせることは、不審者の下見を阻止したり、標的から除外させる効果もある。

チェックリスト

防犯対策

過去最多のペースで増加している犯罪集団、特殊詐欺や闇バイトのトクリュウ (匿名・流動型犯罪グループ)と、以前から発生している侵入窃盗犯罪などがあります。

トクリュウは、手口が素人と言われ、指示役からの指示通りに犯行を実行するので、家の中に人が居る居ないに関係なく、乱雑な方法で侵入し、強盗、強盗殺人事件、連れ去り事件に発展しています。
これらの標的になるには、被害者がなかなか自覚できていない闇名簿にあります。流通している闇名簿の中から標的にされています。

トクリュウは、お金や金品のありかを聞き出すために、「人が居る時に強盗する」ことを選択しています。
言い換えると、標的対象に人が居るから侵入して強奪することを目的にしています。

闇名簿

闇名簿は、トクリュウ以外にも共有されている可能性が高く、以前から発生している侵入窃盗犯も利用している可能性があります。

闇名簿に載ってしまうことには原因があり、犯罪者にとって都合が良い条件が整っている住居になっていると考えられます。
一言で言うと、地域、近所、標的において、防犯意識が低く防犯対策がなされていなく逃げ切りやすく、犯罪者にとってリスクが低い地区、住居になっていることです。さらには下見をしてその確度を高めていると思われます。

ウチは大丈夫!

そうは言い切れません!!

残念ながら、日本の宅地開発の経歴から、ほとんどがハモニカ型の宅地割になっていて、2000年頃以前に建てられた住宅は現代に比べて防犯性能は低いのが一般的です。そして、過去に、リフォームや修理業者を利用したことがあるはずです。
さらには、その住宅に住まわれている方は高齢者になっている確率が高くなっています。地区全体、地域全体がご高齢者になっていませんか?

安心安全な暮らし、ご家族や命や財産をまもるためにも、チェックリストでご確認ください。

ウチは大丈夫! は、もうやめましょう。

我が家も既に闇名簿に載っちゃってると思いましょう。
現金も大して置いてないし、金目のものも無いから・・・。犯罪者はそのことを知りません。
逆に金目のものがあると思われています。通帳、印鑑、カード、暗証番号、どなたでもお持ちになられているはずです。
犯罪者はこれだけで十分なのです。

すぐに口座を止めるから大丈夫。
拘束されたり、監禁されたら、命を落とすことになっていたら、口座もカードも停止する連絡もできません。
武術を身に付けられていても、相手は若くて複数人で凶器を持っているので、家族もいた場合、守り切れる確率を冷静に考えましょう。

オススメ防犯対策

何県にお住まいですか?上記のグラフから認知件数や検挙率を把握してください。
ここから記述することは、埼玉県川口市を念頭に記載していきます。

宅地開発された年度は1990年以前
街区形状はハモニカ型
ご自宅の築年数は30年前後
角地、旗竿地で高い塀や垣根がある
リフォームや住居内の修理歴あり
不審な電話に受け答えした経験もあるような気がする
セールス電話も比較的多く感じる
突然訪問業者が来たことが何度かある
過去に近所で自動車盗難、車上ねらい、空き巣などがあった

が、ウチは大丈夫! は、やめましょう。

防犯対策を行うまでは、まず、
「こまめに玄関、窓を施錠する」・・・侵入防止
「日が暮れたら雨戸、シャッターを閉め、施錠する」・・・侵入防止
「敷地内を整理整頓する」・・・標的闇名簿回避
「目隠しになっている生垣は思い切って剪定、低くする」・・・標的闇名簿回避
「寝室は2階にして、枕元に携帯電話」「異変を感じたらすぐに110番、通話は切らない」・・・身の安全と時間

お金をかけずにできることです。
但し、闇バイトなどの犯罪者は、雨戸や窓を破壊して侵入していると報道されています。

犯罪者は、侵入するまでにかかる時間が5分以上で諦めはじめ、10分以上かかる対策はさらに有効です。

犯罪者が嫌うとされている4原則
音 
・光
・人の目
・時間

防犯対策のイメージ

警戒・予防策
音・・・警報機付き開閉・振動センサー   威嚇・撃退・退散
光・・・センサーライト   標的回避
人の目・・・防犯・監視カメラ   標的回避
時間・・・侵入経路の対策、雨戸・シャッター・面格子・窓にフィルム・ストッパー、2重施錠   一部標的回避

異変の早期察知による防御策
人感センサー・・・敷地内侵入者の察知・通知、カメラで確認・110番通報
警報ライト・・・威嚇赤色灯、フラッシュライト
警報音・・・サイレン
防犯ブザー・・・複数の携帯用防犯ブザーを2階窓から住宅近隣に投げる

防犯対策の例

防犯対策製品の一例

防犯対策製品の一例

製品選定・設置アドバイス

ご自宅の地域、地区、敷地内環境、建物を拝見させていただき、ご自宅に合った防犯対策をアドバイスさせていただきます。

各防犯対策製品の選定、取付、設置設定、使い方などご説明いたします。
防犯対策の製品は、ホームセンターでも販売されていますが、ネットでもピンキリで販売されています。
どれが良いのか、価格は妥当なのか、選択肢が多すぎて選ぶだけで疲れてしまうと思います。

ご自宅の環境や玄関、窓に合った製品を選別してメリット/デメリットと費用対効果などもご説明いたします。
高い塀の改修は防災の観点から補助金が出る場合もありますのでお調べいたします。

防犯対策の費用感

製品価格

窓のストッパー  数百円~
窓の補助錠    数千円~
窓のフィルム   ランクによるが0.2mm厚以上で5,000/m2以上
警報開閉センサー 3,000円~
屋外警報センサー 6,000円~
センサーライト  6,000円~
防犯カメラ    15,000円~
モニター     20,000円~

あくまでも目安になります。
費用対効果が期待できる製品の最低価格帯になります。

施工費

ご相談      無料
お見積り     無料
防犯調査費用   10,000円~
標準基本料金   30,000円~
窓のストッパー   500円/箇所~
窓の補助錠    1,000円/箇所~
窓のフィルム   10,000円/m2~
警報開閉センサー 2,000円/箇所~
屋外警報センサー 10,000円/箇所~
センサーライト  30,000円/箇所~
防犯カメラ    30,000円/箇所~
モニター     10,000円/箇所~

首都圏の相場で最安値はだいたい上記になります。
警備会社などは上記から2倍以上高くなってる場合もあります。
同一製品を複数個施工する場合は、2個目から割引される場合もあります。

お見積り例

優日堂のお見積りの一例です。
採用する製品により、価格や施工費、設置場所の施工内容により価格は変動いたします。

4原則の音、光、人の目、時間を網羅したお見積り例になっております。
離れて暮らすご実家への防犯対策としてもご検討をお願いいたします。

お気軽にお問い合わせください。090-1050-5159受付時間 9:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]
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