Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をつなぎ合わせた言葉です。

カオス化したVUCA

これらの要因により、現在の社会経済環境が不確実、複雑で曖昧で、カオス化した極めて予測困難な状況に直面しているという時代を表します。
「VUCAな時代」という表現で使われ、現在が変化の激しいその時代であり、今後はよりVUCAな時代になると予測されています。

国際情勢を意味する軍事用語として誕生し、ビジネスや経営、マネジメント、教育おいても使われるようになり、個人の人材論組織の組織論が注目されています。
VUCAという予測困難な時代に適応できるスキルや組織はなにかを分析し、カオス化したVUCAの時代を生き抜くために適した組織体制やマーケティング、商品開発手法を構築していくことが必要になっています。

変動性 : Volatility

GAFAM(ガーファム : Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)やアジアのシリコンバレーと言われ経済特区にも指定されている深センに拠点を置くBATH(バース : バイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)、ファーウェイ(Huawei))、シャオミー(Xiaomi)を入れてBATX(バットエックス)と呼ばれているIT企業の躍進により、新しい革新的なサービスが次々と現れています。

例えば、スマートフォンを活用したサービスを中心にビジネスだけでなく、スマホ決済など、社会の仕組み全体が急速に変動しています。 インターネットの普及や半導体の進化に伴い、現在は大きく世の中を変えました。そして、現在はAI(人工知能)、メタバース(仮想空間、仮想現実)やNFT(所有証明書付きのデジタルデータ)などのサービスが提供されています。

これらの影響により、消費者のニーズや購買行動は細分化し、サブスクリプションビジネスも活性化してきています。 カオス化したVUCAの市場では、企業も変革する時代に適応して、新しい価値観やマーケティング手法を取り入れて生き抜いていく必要があります。

日本国内では、超高齢社会、少子化問題、地域創生など、人口ピラミッドを起因とする社会構造の変化が現れ、これからも継続していきます。 地球温暖化による気候変動や異常気象がもたらす災害の甚大化、新型コロナウィルス感染症など、過去に経験したことがない想定外の変化の影響を国民全体が受けています。

これまでの日本の文化や心、しきたりなどとは別に、新たな生活様式を取り入れていく、受け入れていく受容性も必要になってきています。 デジタルデバイドと言われる情報格差はインターネットやコンピューターを使える人と使えない人との間に生じる格差のことで、特に若年層と年配や高齢者層で広がっています。

不確実性 : Uncertainty

政治経済のグローバル化、企業のグローバル化、サプライチェーンのグローバル化、これらに伴う貿易協定などの広がりがある一方で、地政学リスク(国家間の戦争や紛争や貿易摩擦など)により経済に与える影響は、当事者ではない国の国民一人一人にまで及ぶ場合もあります。

地球規模で影響を受けている自然災害や感染症は予測が困難な事態であり、経済への打撃も大きくなることがあります。

日本国内では、雇用制度は限界が来ているかも知れません。年功序列、終身雇用の雇用関係は徐々に減少し、企業や組織の存在目的(エボリューショナリーパーパス)に合わせた雇用形態になっていくでしょう。

従って、入社から定年まで一つの会社を勤め上げた、この会社に誠心誠意尽くしたという、価値観や美徳感は過去のものに変わっていくことでしょう。 企業や組織は、有能な人材の離職率は低い方が良いですが、個人からみた企業や組織への評価によって行動する個人が増加していくことになっていくのではないでしょうか。 企業も組織も個人も将来を確度高く予測していくことは困難な時代になっています。

複雑性 : Complexity

技術や商品・サービス、消費者行動などが多様化している今、企業や組織のソリューション(問題を解決すること)も多様化し複雑化しています。 サプライチェーンは地球規模になり、ボーダレス化による拡大に伴うリソース(ヒト・モノ・カネ)の増加は、リスクの増加にもつながりやすくなっています。

世界中で情報が溢れ、有効活用できていない膨大なデータも蓄積され、市場サイクルの変化も早くなっていて、エンドユーザーの価値観、共感性、UX(顧客体験)の変化をつかみきれない時代になっています。
刻々と変化していて、しかもスピード上がっている市場にタイムリーな商品やサービスを提供し続けることは至難の業になっています。

企業や組織のソリューション業務がより多様化することによって、より複雑化して、最適解にたどり着けていない可能性もあります。
エンドユーザー(BtoC)や顧客(BtoB)の要求の変化や、この先の要求の予測トレンドは欧米を中心とした世界を見るべきか、ガラパゴスな日本国内を見るべきかは業界によって異なるでしょう。
しかし、地球環境に関連すること、SDGsやESGなどの目標、Co2関連キーワードは世界中で共通のトレンドと言えるでしょう。

日本国内では一般社会だけではなく、どの企業内でも情報格差が存在していると言えるでしょう。
業界によって、その格差が大きい業界と小さい業界も存在し、企業体質組織形態も情報格差の要因になっている中、2025年の崖に対処するDXへの取り組みも必要になっています。 業界や社内の慣習、既得権益、出世争い、保身などが業務効率を推進できなかったり、複雑にしたりしていることを見たり、感じたりしたことが誰しもがあることでしょう。

曖昧性 : Ambiguity

インターネットの普及や半導体の進化とともに、消費者の価値観は情報量の増加とともに多様化しており従来のようなマーケティングや商品開発では商品やサービスが見込んだように売れにくくなっています。

過去の成功体験の再現性を図っても、時代背景がカオス化した時代においては、期待した通りの成果が得にくくなっています。 テストマーケティングや試行錯誤を繰り返しているうちに販売チャンスを逃してしまうこともあるでしょう。

明快な予測を持てずにどこかで見切り発車、曖昧なまま決断、実行していかなければならない不安定要素を抱える時代になっています。 消費者行動の購買行動モデルは過去の統計や経験が通用しないことも多く、ビックデータの有効活用、予測も曖昧になってしまっていることもあります。

世界は急速に変化を遂げているため、予測できない状態でも意思決定する必要性に迫られる場合があります。難易度が一層高まっています。

まとめ

これらを踏まえ、現在の社会経済環境カオス化したVUCA予測困難な時代に対応できる個人の人材論企業の組織論など、スキルや組織、チームはなにかを分析し、この時代を生き抜くために適した組織体制やマーケティング、商品開発手法を構築し、個人スキルは教育の時期から、社会人はリカレント(学び直し)を推進していくことが必要になっています。

現代とは社会経済環境の背景が異なる過去の成功体験や知見、勘に固執せず、今起きている事象、間もなく起きるであろう事象の情報収集、調査をして時代の波に乗る、上げ潮に乗ることが大切です。

欧米や成長しているアジアから2周遅れの日本の中で「井の中の蛙大海を知らず」になっていないか、個人として、現場の長として、経営として、企業全体として、自己評価、強みが弱みに変わっていないかを見つめ直しをして非連続的な変革ができるところがないか現場社員とともに確認することも大切です。

忙しくて、そんな時間は無い、、、すぐに半年、一年が過ぎ、時代背景は更に変化し続け、気が付くと日本国内の中でも周回遅れになっていたでは遅すぎます。

政府が毎年発行している、「XX年度ものづくり基盤技術の振興施策」、通称「ものづくり白書」の2020年度版に「第2節 不確実性の高まる世界の現状と競争力強化PDFファイル」があります。
VUCA 関連資料のページで抜粋してご紹介しております。


2020年版ものづくり白書では、パンデミック、貿易摩擦、保護主義、地政学リスク、自然災害等の「不確実性」を克服するために、我が国製造業が取るべき戦略を提示している。その戦略とは、環境や状況の急変に対応する「企業変革力」、特に設計力を、デジタル技術を徹底的に活用することによって強化することである。

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