アイデア次第では、もっと身近な、「あったらいいな」「こうなるといいな」を実現していけます。
みなさんは、何を実現したいですか?
漠然とした「想い」、実現している「イメージ」。
「現実と理想」のギャップが「霧」となり、「想い」と「イメージ」の間で視界を妨げている場合もあるでしょう。
何かしらの課題解決、もっとよりよく、人間の能力だけではできないこと、実現したい何か、これらは、何かを得る(ベネフィット)ことではないでしょうか?
・不便だったことを「何かをして」解消し負担を減らす。更に便利にする。
・不安だったことを安心できるように「何かをして」改善したい。
・危険と感じることを「何かをして」改善し安全性を高めたい。
・自然の驚異が増えているので「何かをして」予兆を予測できるようにしたい。
・定点の監視・観測を「何かをして」データを自動で取得し分析したい。
・勘や経験則だけではなく、「何かをして」理論的に評価・行動できるように確からしさを高めたい。
その他にも色々あると思います。
これらの目的・目標・想い・理想像を「霧」を排除して実現するための「何かをして」の技術は、「異種総合格闘技」と言われているIoTの技術が適しています。
※難しいこと、仕事の延長ではなく、IoTを自作して楽しみたいだけなんだけど・・・という方は、以下は読み飛ばしてください。
目次
目的・目標・想い・理想像
何かを得る
何かを得るためには、何かしなければなりません。
得るための手段や方法として、「商品」・「サービス」を利用しています。
人は、商品やサービスなどの「モノ」が最終目的で欲しいわけではなく、その先にある「コト(体験)」と「UX(体験の質)」を得たいのです。
「何かを得たい」⇒「モノ」+「サービス」 ⇒「コト(体験)」 ⇒「UX(体験の質)」
「体験の質」は全てを通じた感情・満足感、総合的な印象、満足度として評価されます。(顧客満足度)
UX
UXは "User Experience"(ユーザー・エクスペリエンス) の略
直訳すると「ユーザーの経験・体験」
ユーザーエクスペリエンス(UX) とは、特定の製品・システム・サービスを利用する際の、人の感情や態度を指す。ISO 9241-210(国際規格)
単なる使いやすさ(UI)ではなく、使って得られる感情・印象・満足感を含む、体験全体のクオリティのことです。感情価値です。
UXを意識すると「製品中心」ではなく、「人間中心」Society 5.0(ソサエティ5.0)の設計に自然とシフトできます。
UXに含まれるもの
- Ease of use(使いやすさ)
- Efficiency(効率性)
- Satisfaction(満足度)
- Trust(信頼)
- Delight(喜び、驚き)
- Value perception(価値の実感)
Society 5.0(ソサエティ5.0)
段階的進化
社会 | 内容 |
---|---|
Society 1.0 | 狩猟社会(人と自然) |
Society 2.0 | 農耕社会(土地を使った定住) |
Society 3.0 | 工業社会(大量生産) |
Society 4.0 | 情報社会(インターネット・デジタル) |
Society 5.0 | 超スマート社会(AI・IoT・ビッグデータなどを活用して「人にやさしい」社会を実現) |
Society 5.0 のキーワード
・AI、IoT、ロボット、ビッグデータ
・誰一人取り残さない社会(インクルーシブ)
・人間中心のテクノロジー活用
・SDGsとの連携
何かを得たい人に、UXを提供する側の人は、このようなことを意識するとSociety 5.0にも対応できて感情価値も評価され、顧客満足度も向上することに繋がります。
作り手は、プロダクトアウトではなく、マーケットインの発想が大事です。
5W1Hの意味と役割
「何かを得たい」「実現したい」ことの「核(主)」となる部分と、実現させるために補助する「要素(副)」を整理できると、目的・目標・想い・理想像がより鮮明になります。
5W1Hで整理してみましょう。
項目 | 意味 | 対象 | 具体的な質問例 |
---|---|---|---|
Who | 誰が? | 主体・関係者 | 「誰が実行するのか?」「誰のためのものか?」 |
What | 何を? | 内容・目的 | 「何をするのか?」「何が課題なのか?」 |
When | いつ? | 時期・タイミング | 「いつ行うのか?」「期限はいつか?」 |
Where | どこで? | 場所・状況 | 「どこで使うのか?」「どこで起きたのか?」 |
Why | なぜ? | 背景・理由 | 「なぜ必要なのか?」「なぜ今なのか?」 |
How | どうやって? | 方法・手段 | 「どのように実現するのか?」「使い方は?」 |
いかがでしょうか。後付けの理由でもよいのですが、整理が進みましたでしょうか?
同時に、疑問も湧いたのではないでしょうか?辻褄が合わない部分も見えてきましたか?
これが、「企画」に該当する作業になります。
商品やサービスを開発していくうえで「スタート地点」、「源流」になります。
事業戦略として、ポートフォリオや収益構造の意思決定にも関連するかもしれません。
目的・目標・想い・理想像が実現できた場合、何が得られるのか?
そのUX、付加価値に対する評価は?
耳が痛い、頭が痛くなる、、、そう思われる方も多いと思います。
今、自分は、この記事を書いていて、自問自答する羽目になっています。(笑)
HOW 方法・手段
どうやって?
「異種格闘技」のIoT技術の出番です。
その前に・・・
Why (背景・理由)「なぜ必要なのか?」
What (内容・目的)「何をするのか?」「何が課題なのか?」
Who (主体・関係者)「誰が実行するのか?」「誰のためのものか?」
Where (場所・状況)「どこで使うのか?」「どこで起きたのか?」
例えば、インターホン。
Why 物騒な事件が多く、家の周りでも不審者をみかけるので怖い
What 危険回避のため、誰か来た時、相手を確認してから出たい
Who 住人全員の安全のため
Where 自宅
How カメラ付き、双方向通話付きのインターホンを購入して、取り付けてもらう
「何かを得たい」⇒「モノ」+「サービス」 ⇒「コト(体験)」 ⇒「UX(体験の質)」
「モノ」は、インターホンになります。ここでは、「サービス」はありません。
「コト(体験)」 は、訪問者とカメラ映像、マイクスピーカーでスムーズに会話ができました。
「UX(体験の質)」は、UI(操作性・使い勝手)もよく、安全も確保できて満足しています。
この後、ご近所さんや友達に話をすると、同じインターホンを購入したそうです。
これが「口コミ」です。商品サイトで書き込みすれば「お客様の声」でもあります。
消費者が「コト」を得て、その「コトの質=UX」に満足して体験談を広めた(インフルエンサー)ことにより、同じ不安を抱えていた消費者(ターゲット層)が、同じ質を得たいと思い、購入者が増えました。
+「サービス」を付けると、
留守中の訪問者にもタイムリーに外出先から遠隔で確認したい。
インターホンをインターネットに接続して、外出先のスマホにアプリで通知、カメラ映像確認、通話もでき、録画録音もできる機能があるとより便利ですよね。
スマホアプリに通知され、カメラ映像確認、通話、録画録音は、運用サービスになります。
より、「コト」と「UX」が向上しています。
まさに、IoTの世界です。
5W
Howを必要としてる5Wは?
地域、環境、衣食住、趣味嗜好、性別、年齢、家族構成、職業などから、Howを必要としているであろう5Wを絞込みます。これがターゲティング戦略になります。
Howを必要としている人物像を想定します。ペルソナです。
想定や想像ではない確かなペルソナは、個人情報になります。
ピンポイントでターゲット層へ広告宣伝できるので、売り手がもっとも欲しい情報です。
企業にとって、ユーザーが登録してくれた顧客情報は価値の高い財産になります。
ユーザーは企業のファンでもあるため、大切にすべき存在になります。
今のご時世は、「モノ」が売れない、溢れている、価格競争になってしまいがちです。
「モノ」から「コト」へと言われ始めてかなり経ちます。UXという言葉も出てきています。
これからもこの傾向は継続するので、商品やサービスの起点は「UX」から考えることが重要になりそうです。
コト消費(体験や感情の価値を得る)」が重視される時代、製品(モノ)の価格競争ではなく価値(コト)競争に移行していることにも、もっと意識を向けたが良さそうです。
目的の決め方
逆算した仕様
「UX」から逆算した「モノ」の仕様
顧客満足度が高くなるための感情価値が評価され、Society 5.0にも対応できている「UX」を提供するための「How」(方法・手段)として「モノ」を開発する。
平たく言うと、ユーザーが
・使いやすさ
・効率性
・満足度
・信頼
・喜び、驚き
・価値の実感
などを総合的に評価してくれる「体験」を提供できる「モノ」
「仕組み・支援・サービス」などを実現する「モノ」
確かめ算
確かめ算をすると、
その「モノ」を通じて どんな体験(コト)を提供できるか
その体験が どれほど心地よく、感動を生むか(UX)
この「モノ」はただの「箱」でも良く、無償提供でも良い。
付加価値の高い「UX」を提供する有償「サービス」を支える「モノ」としての位置づけで考えてみてはいかがでしょうか。
代表例としては、サブスクリプションでしょうか。
逆の発想
逆の発想もあります。
デザイン思考を高めて、IoTを見せる「モノ」と位置づける。
液晶ディスプレイで映像を表示したり、動作や処理していることをアイコンや多色LEDで表現して、今IoTとして動作していることをタイムリーに見せることで、満足感を得る人も一定数存在します。
交通管制センターのように、あらゆる現地の情報を遠隔監視できるシステムのように。
面白い世界、ビジネスモデルが見えてくるかも知れません。
テーマのヒント
今、世の中に無い製品やサービスはほぼ無いでしょう。溢れている時代なので、探せば見つかるはずです。
もしない場合は、あまりにも需要が無く商売にならないので存在していないのか、まだ、誰も気が付いていなく商品化されていないのかも知れません。
「あったらいいな」「こうなるといいな」
近い商品を探しましょう。
A製品とB製品を足して2で割ったものだとします。2個1。
それぞれの製品の仕様・機能を取捨選択して、必要な仕様・機能だけに絞ったCを作りましょう。
日本製品がやりがちな多機能は不要です。UXの要素に反する項目が増えるからです。
・使いやすさ
機能が多くなると、何を選択すればよいのか、わからなくなる
・価値の実感
使わない機能が多く、割高に感じる
・満足度
使う機能は限られているので、使い勝手、価格が見合わない
シンプル・イズ・ベストに徹しましょう。
電子工作もその分簡単になり、早くできるとうれしいし、次への創作意欲も高まります。
その後、ひとつずつ、仕様や機能は足していく、拡張性に限界が来たら新規で作り直す。
この繰り返し(OODAループ)で完成度を高めていきましょう。