新規事業戦略

企業にとって、既存事業を発展・成長させていくことは大切なことです。しかし、既存事業はいつか外的要因からの影響を受けて思うように成長ができない、停滞する、衰退するというリスクが考えられます。
時代とともに少しずつ外部環境は進化して新しいものに置き換わっていくのが世の常です。自社にとっての最重要顧客の変化は見逃すことができません。

昔と今

皆さんもわかりやすい電話の世界で例えると、固定電話からfax、ガラケー携帯電話、スマートフォンと進化を続け、利用できるサービスは固定電話時代とは比較になりません。パソコンも大きなモニターとタワーの1台を全員で使用していた時代から、一人1台のノートパソコン時代になり、教育現場でもパソコンやタブレットが1台ずつ当てがわられるようになっています。無線通信規格の発展に伴いパソコンやスマホで動画を見ることができ、スマホなどで撮影した動画もすぐさま送信することができる世の中になっています。

ライフサイクル

10年前、20年前、30年前・・・と現在、そして、3年後、5年後、10年後の将来を想像したときに現在から置き換わっていくものは何か、その結果、廃れていくものは何かを考えていくことも重要です。その廃れていくものやサプライチェーンとして間接的に影響を受けるものを事業とされている場合は、自らの事業を変革していく準備を進めていかなければ、やがてその事業の収益は事業ライフサイクルにより衰退していってしまいます。

モノの変化

音楽を聴くとき、カセットテープでしたが、今は半導体メモリーです。カセットテープは姿を消しました。
電灯は今でもありますが、中身が変化しています。フィラメントからLED、蛍光管からLEDに変革して、消費電流を大幅に削減することで、電気代の節約とCo2の排出削減に貢献し、地球環境の回復に一役買っています。小さな貢献かも知れませんが、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))の活動に参加していることになります。電球も蛍光灯もガラスでしたが、LEDになるのと同時に樹脂になっています。発光するという機能はそのままでも、構成部品は大幅に変化しています。

市場の変化の兆候

その分野で事業をされていると一般の方よりも敏感にちょっとした変化や兆候、兆しにも気が付きやすいと思います。気が付いたことを放置されるのか、注視していくのか、他社に先んじて早期に取り入れていくのかのスタートさせるタイミングは将来に影響を及ぼすことになるでしょう。

現状に満足している、大きな課題は感じていない、しばらくは今のままでよい。と思われている方は既に何かを変革してひと段落、本格稼働し始めたばかりの方と思います。
逆に強い危機感を持ちつつも何をどうしていったらよいのか時間ばかりが過ぎてしまっているが、何とかなっていると思われている方も多いと思います。

2025年の崖

実際、日本は世界から後れを取る状況に陥っています。日本が世界のトップグループに位置していたのは一昔前のことで、全体論として世界を見ずに国内だけを意識してきた結果、デジタル化の進歩に伴って、日本は周回遅れになっています。2025の崖と言われているDX(デジタルトランスフォーメーション)(デジタルによる変革)問題です。

社会課題の解決をきっかけに

新規事業、何をやればいいのか思いつかない、わからない、投資する余裕もない。
新規事業、何かやりたい、事業の拡大や入れ替えは考えているが、二の足を踏んでいる。
業種や職種によっても考えや思いは様々だと思います。従業員の高齢化や後継者、技術の伝承問題などで全体的な労力が低下していっている場合もあると思います。現在抱えている課題や問題(ソリューション)は多くの同業者にも共通しているのではないでしょうか。その共通している課題や問題は日本の社会課題となっています。この社会課題を解決していくことを新規事業としてスモールスタートしていくことができるのではないでしょうか。

日本人気質と政府の方針

最近勝手に思っていることですが、日本人は農耕民族であり、よく働き、節約や質素な倹約生活を美徳として、楽をすることはご法度、便利になることは贅沢だという観念があるように思います。報道されているニュースだけでみているとコロナに対する国民性は明らかに日本は世界と違っていると感じませんでしたか?

世の中が便利になっていくこと、さらに豊かになっていくことに抵抗感すら感じている方も多い気がしています。しかし、欧米を中心に今はアジアも加わり、さらにさらに進化を続けてこれからもディファクトスタンダード(事実上の標準)になっていくことでしょう。

日本人はこのようにして周回遅れに陥った一因を抱えていると考えています。国はインダストー4.0(第4次産業革命)やSociety5.0(サイバー空間(仮想空間=クラウドやAI)とフィジカル空間(現実空間=IoT)を高度に融合させた社会の構築による超スマート社会、人間中心の社会。を推進しています。

話し合う

現在の業務の棚卸をして、慣れ親しんできたやり方をもっと楽(省人化、省力化、効率化、短時間化)にできないかを関係者と話し合うとソリューションを解決する方法が浮かび上がってきます。設備導入をすることで例えば5人かかっていた業務が、2人でできるようになる。3人分の年間経費が2,000万だとすると、単純には2,000万の投資ができることになり、1年で回収できるので、2年目からは大きな経費節減につなげられます。(実際には2,000万も投資すすることはできませんが。) では、この3人はどうするのか?何をやらせるのか?人員が不足している部署に投入して強化することや 3年後、5年後、10年後の将来 に向けた準備に配備することも可能です。

課題解決にはデジタル化が必須

ここで行う設備投資とは、デジタル化になります。DXやIoTなどです。近い将来、全業種の半分以上はAIで賄うことが可能な時代になっていきます。今、抵抗しても勝ち目はありません。それよりも早く時代の波に乗り、便乗して体制を整えることが重要になります。2025年の崖の回避にもつなげられます。

デジタル化というと、イメージしにくいかもしれませんが、便利だと思われるスマホのアプリやスマホ自体が既にデジタル化です。新聞・雑誌、タイムリーな天気予報、片手で手軽に確認できます。数十秒前には地震速報も届くようになりました。カーナビがない時代はいかがでしたでしょうか。既にデジタル化の恩恵を日常生活の中で受けています。贅沢ではないですよね(笑)。

機械設備の運転状況の自動監視は歩留まりや品質の安定に貢献してくれます。
熟練工の技をデジタル化することでクローン的に安定して生産量を倍増できます。
勘に頼ることが多いと言われている農業もデータ化して年間の天候予想と照合することで勘からより理論的な生産ができるようになり、実証実験の成果も確認されています。
異常気象が今後も多発していくことが予想されています。自然災害に対する予防や精度をIoTで向上させることが可能です。活用次第では、尊い命や財産を守り、災害を縮小化することも可能になります。

新規事業という言葉のイメージを変える

新規事業の定義は今まで手掛けていなかった分野に新規参入することだけではないと考えています。
既存事業の設備を一新することにより、今まで生産できなかった製品をプラスで生産できるようにすれば、これも新規事業になります。得意の分野で製品カテゴリーを増やすことで新たに参入できる幅が広がります。最新設備の導入により、EMS(受託生産)を受注することも新規事業になります。

新規事業、経験の無い分野、浅い分野にはリスクが高い。千に三つ、成功率も低いというイメージになっていると思います。しかし、スモールスタート、低リスクで進めていくやり方もあるのではないでしょうか。
生産できる製品カテゴリーを増やすための設備投資は現在の生産のためでもありますので、低リスク、低投資とみることができるのではないでしょうか。

自社に不足している技術やブランド、販路などは他社と協業(コラボ、パートナーシップ、エコシステム)することによって、お互いを補完しあう水平統合の考え方もあります。志を共有し続けていける相手であることが重要になります。

お客様の要望は付加価値になる

現在は品質やコストは付加価値として扱われにくくなっています。特別な産業でない限りさほどの差はなくなっているのと、品質がある程度良くて当たり前、価格に見合っていて当然となっているからです。
付加価値は、ソリューションを抱えているユーザーにとって解決できるモノ、コトになって初めて評価されます。ちょっとしたことが大きな付加価値として評価されることもありますので、チャンスは沢山あると思います。ちょっとした違いでヒットすることもあります。百均には付加価値の高い商品が溢れていると思います。

モノづくりをやってきたコンサルタントとして新規事業戦略のお手伝いをさせていただきます。海外からの商材の探索や仕入れ、その商材を母体にしたセミカスタム開発、品質サポート、開発受託など、お気軽にご相談いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

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